酔蝶華の物語

幻覚度3

はじめに

酔蝶華は、鯢呑亭を中心に起きる出来事、日常が主に描かれている。

たまに、最新作など他作品のストーリーの後日談、補助的ストーリーが差し込まれ、東方の小数点作品のようなサブ的な存在として認識されているように思う。

ただ、それにしては伏線のような気になる部分がいくつかあり、核となる物語が隠れているように思わずにはいられない。

あくまで個人的な見解であるが、気になる部分から酔蝶華に隠されたものを見出していきたいと思う。

※作品の今後の展開予想は目的としていない。

※形式上幻覚度は低めに設けているが、自身の見解を正解だとは思ってない。違う見方があれば是非コメントいただきたい。

 

 

屋敷

個人的に、酔蝶華が物語において主としているのは「屋敷」だと思っている。

  • 序盤で美宵が身の上を、『鯢呑亭になる前の屋敷の座敷童子』だと明かしている。また、鯢呑亭の店主に関しては『今の店主』という言い回しをしている。

美宵がその屋敷に並々ならぬ想いがあるように描かれている割に以降で全く触れられていないのが、なんとも奇妙な所である。

美宵の台詞から、鯢呑亭ではなく現在鯢呑亭として使われている屋敷という存在が、酔蝶華の核になっていくのではないかと見ることができる。

現時点では、前住人がいて、美宵はそこの家主の座敷童子として家族のように暮らしていた可能性を考えている。今の住人の店主が営む鯢呑亭の暖簾を守ることで、”引越し”をしても尚その屋敷自体を守る事に繋がっていると思われる。

屋敷は座敷童子と切っても切れない関係なのはもちろん、座敷童子と対極(表裏一体)な貧乏神の紫苑が鯢呑亭の常連として各回に渡って登場し一部で活躍しているのも、そうしてみると面白い。

 

 

萃香と蛇と酒

屋敷と同じくらい気になるのが、作中で頻出する「蛇」と「酒」である。

タイトルや居酒屋が舞台という事、作中タイトルや内容にも酒と酔蝶華は切り離せない関係であるのは言うまでもない。

美宵の能力は、お酒を通して対象の記憶に干渉することができる。時に悪夢を見せたり、時に迷いを断つ(悪い記憶をなくす)といった、「毒にも薬にもなる」お酒そのものを体現した能力と言っても良い。

しかし「蛇」という存在が不可解である。

  • 作中では酒と蛇両方の要素がある「蟒蛇(うわばみ)」が複数回登場し、更に「ヤマタノオロチ」についての言及もあった。

  • 78話には、蓮の花(ロータス)から現れたような蛇の姿が映されている。

酒に関する幻想郷的な話なら、蛇が絡むのもままあるかなと言ったところではあるが、それにしてもやたら頻度が高い。

  • 酒と蛇と縁があるだろう存在として「酒呑童子」である伊吹萃香も気になるキャラクターである。萃香は作中で何か狙いがあり暗躍しているように見受けられる様子がいくつかある。

主人公の美宵が棲みついた伊吹瓢の家主であり、正式に杯を交わした仲である事からも重要な存在なのは間違いないだろう。

意図が作品内で今後明らかになっていくのかについては定かではないが、

  • 魔理沙に伊吹瓢を貸し、その影響で魔理沙が妖怪に近づいた。恐らくは萃香は意図的に貸したものと思われる。

 

 

 

美宵と魔理沙

また、頻出するキャラクターとしてやはり気になるのは「霧雨魔理沙」である。酔蝶華は、魔理沙が物語の中心と言っても差し支えないくらいに様々な話が描かれている。

  • 今までのどの作品にも描かれなかった(本人がはぐらかしてばかりだった)魔理沙の内面について真正面から描かれている。

※もう少し魔理沙の描写に踏み込んだ内容については別記事を参照

酔蝶華に見られる魔理沙について
酔蝶華は魔理沙に関する新しい動きが見えてくる作品になっているのかもしれないという考察です。

本作主人公は美宵のはずだが、魔理沙が推されていると一見美宵の存在意義に疑問を持つかもしれないが、逆に考えると、魔理沙と美宵には密接な繋がりがあるからでは、と見ることができるのではないか。

同じ形を取っている前例があり、それが智霊奇伝である。書籍オリジナルキャラである瑞霊を中心とした作品ではあるが、酔蝶華とは反対に霊夢(博麗の巫女)について迫った内容となっている。

瑞霊と博麗の巫女の関係が明かされたように、酔蝶華は美宵と魔理沙の関係について今後明らかになっていく可能性もある。

これだけだと妄想でしかないが、いくつか読める部分がある。

  • 魔理沙の意識(靄)が鯢呑亭に向かったという描写。魔理沙の夢(?)の中ではその靄が美宵と同化し、鯢呑亭の屋敷全体を包み込んでいた。
  • 伊吹瓢の影響もあるとされる魔理沙の靄の問題を解決したのは美宵であり、霊夢すら把握できなかったその靄を視認していた。つまり、魔理沙の靄は魔理沙と美宵にしか見えていない。

8巻の神主あとがきにて、その靄の回については、物語の”転換点”としている。また、「美宵と魔理沙の関係性」を見守って欲しい旨を記している。

  • 美宵は序盤で、座敷童子の宿命として「忘れられる」事が悲しいと言及していた。特に、魔理沙に存在を忘れられかけていた事に1コマだけだが大変ショックを受けていたような描写がある。

  • 「マスタースパーク」など魔理沙の身の上をそれなりに把握しているっぽい。

「煮物が美味いという噂だ」など、序盤の魔理沙は鯢呑亭に通うのは初めてっぽく思われるが、美宵はどうやって魔理沙の身の上事情を把握していたのか(少なからず霊夢の事もある程度把握していそうだし、魔理沙に限った事ではないかもしれない)。

美宵の能力ではなく座敷童子故に自然と存在を忘れてしまうなら、描写からして鯢呑亭に通っている記憶まで無くなる事はないはずである。

 

 

 

まとめ

  • 酔蝶華は智霊奇伝に対応した作品である。
  • 魔理沙の更なる深掘りがなされる土壌が出来ている。
  • 萃香の意図(陰謀?)に、魔理沙と美宵が巻き込まれている形に見える。
  • 妖怪に唆される魔理沙と、魔理沙を妖怪の魔の手から離そうという意志が見える美宵の関係。
  • 美宵が守る屋敷と魔理沙の関係を繋ぐのは、やはり家族?

などが、酔蝶華に対する個人的な見解である。

それらがどう繋がってくるのか、さりげない描写にも注目してみるとなかなか面白いのが酔蝶華だと思う。

 

 

 

 

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