鬼の国の所在についての解釈

萃夢想で語られてから依然として詳細が明らかになっていない「鬼の国」。獣王園では萃香の登場によりその一端を読み取れるような描写がいくつかあったため、そこから軽く考えをまとめてみようと思いました。

獣王園では、残無が萃香に対して「お前は地獄から抜け出してたな」という言葉をかけています。加えて、八千慧との対戦台詞では「最近見かけないと思ったら幻想郷に居たのね……」と言われています。畜生界近辺でちょくちょく見かけるぐらいの存在だったとなると、萃香はある程度の期間は畜生界近辺で暮らしていたと考えられます。とすれば、萃香のいた鬼の国が畜生界近辺にある可能性が考えられると思います。そして、残無の言う「地獄から抜け出した」も鬼の国から抜け出したことを指している可能性が出てきます。

しかし、ここで問題となるのが、鬼形獣omake.txtの久侘歌の項で地獄と鬼の国が並列されている、という点です。この文脈からすれば地獄と鬼の国は分かれていることになります。

これに対する解釈として、自分は鬼の国が畜生界と同じように地獄と隣接した場所にあるのではないかと考えています。そして、その隣接する異界群は一つの世界としてまとめられるのではないかとも思っています。

鬼形獣スタッフロール曲の名前は「地下からの帰還」ですが、霊夢達の道程に物理的に地下へ向かうような描写は見られません。しかし、この曲名からして鬼形獣の舞台は地下世界なのです。しかも普段地底とは区別されるはずの新地獄です。このことから、地底を切り離したとは言っても地獄は概念として地下という要素を含んだままであることが判ります。この地底ではない漠然とした地下世界、自分はこれが広義的な地獄としての役割を果たしているのではないかと思っています。鬼形獣では、畜生界から地上へ行くことは簡単ではないけれど、地獄へ行くことは比較的簡単だとされています。六道で考えると畜生と地獄の間には餓鬼があるので、ここで言う「隣接している」は順序の問題ではないと思われます。であれば、この二つは似たような性質の場所にある、すなわち地下世界として包括されているから隣接しているのではないでしょうか。そしてこの地下世界の中に鬼の国もあるのではないか、というのが現時点での解釈です。加えて、残無が言った「地獄」もこの地下世界のことを広義的に捉えて地獄と表現したのではないかと考えています。

「地獄」という言葉は、新地獄のみではなく旧地獄に対しても使われています。地霊殿Exのステージタイトルは「地獄のラブリービジター」ですが、これはほぼ間違いなくこいしのことを指していると思われるので、ここでの「地獄」は旧地獄を含めます。地獄から切り離されたはずの地底が何故今も「地獄」と呼ばれているのか。それは地下世界という意味での「地獄」なら新も旧も変わらないからではないでしょうか。

獣王園では黄泉醜女の登場により、黄泉国も恐らく地獄に含まれていると判りました。様々な死後の世界が融合している一方で、地底のように切り捨てられる場所もある地獄。含まれるか含まれないかの揺らぎが激しいそんな場所に鬼の国はあるのかもしれません。

おまけ この解釈を投げやりにまとめると「新地獄とか旧地獄とか畜生界とか鬼の国とか、地上からすれば全部地獄で変わんねーから!」って感じになります。多分。

コメント

  1. 一般ぱーぷる より:

    ありがとうございます!
    輝針城の情報も確かに入れたいですよね……城ごと飲み込める空間、どう読み取ったものか……

  2. 鴨居能嵎 より:

    とても面白い解釈です!
    「地上からすれば全部地獄」というのは求聞史紀の鬼の項からも読み取れそうです。
    欲をいえば輝針城omake.txtの針妙丸を踏まえた解釈もほしいところですね。