十二支で例えるのは難しかった、星蓮船登場キャラの関連性について

東方星蓮船の登場キャラだけで十二支に例えられるのでは?と試みること14年半、色々考えて五倍に薄めたら考察できました。なんでそうなった?
あとナズーリンのスカート、良いよね(言い方)

子と寅の関係?

最初はナズーリンのスカートの構造で一筆上梓するつもりだった。
ナズーリンのそのデザインは下の方に細い長方形の穴が一定間隔に並んで空いており、これは十二消息卦の地雷復に基づいているというのが持論である。
十二消息卦というのは、陽(―)・陰(–)の二種片方を3+3=6行積み重ねた六十四卦(東方では八雲紫の和装の前掛け【沢地萃:上☱+下☷】が代表的である)の内12ケの卦での考え方で、下から陽→陽が満る→下から陰→陰が満る→下から陽・・という変化を表す。
子に当たるのがその十二消息卦でいう【地雷復:上☷+下☳】に位置し、黒系のスカートに白く空いた穴が最下の一陽、スカートの布地が残り5行の陰と捉えることが出来る。

また、十二支の寅には【地天泰:上☷+下☰】という卦が嵌められている。
これも寅丸星の衣装で見ることが出来、寅柄の毛皮の縞模様が陰☷で、下地の色が赤で陽☰である。
6行の上3行が表や外側で、下3行が裏や内側とみることができるので、地天泰と見做せる。


と、そこから先の他キャラへの関連性がなかなか見いだせないでいた

やはり鍵はナズーリン

十二消息卦や十二支は基本的に該当する方位や時間に当てはめて終わりではなく、原則はその一巡・循環までとらえてこその見立てであったりする。
ナズーリンは両先端にそれぞれNS・EWのついたダウジングロッドを持っていて、各方角を表しているというのは通説だが、この方位・方角も十二支や十二消息卦にひっくるめたセットとして捉えることもできる。
ナズのダウジングロッドは方位だけでなく「一巡」という意味も含んでいるのではないか?、名前はネズミ+輪(りん)なのか??
ネズミや一巡の要素で当てはまるものがないのか、と考えたときに思い当たったのが十干十二支(フルバ1巻で知った)である。

十干十二支→六十干支

カレンダーの日にちに六曜とともに書いてあるのを見たことがあるかもしれない、各日及び各年の数え方の一つである。
十の並びの十干(甲乙丙・・)と十二の並びの十二支(子丑寅・・)を順番を変えずに01甲子から一つずつ組み合わせて数えていくと最小公倍数60で61甲子に戻り一巡する(総組み合わせは120通りだが、順繰りだと最小公倍数の組み合わせの数が優先される)。


2025年は乙巳みたく年単位にすると60年になり、60歳を還暦とするのは六十干支からの着想である。
甲子園や辛酉革命など、由来や内容は知らないが聞いたことはあるかもしれない、そういう単語のもととなる数え方でもある。
この六十干支とナズや星があてはまるのではないかと考えていたら、とある法則を見つけた(やっと本題)というわけである。

水行を往く船

六十干支の最初は甲子(きのえね)からである。


さっそく甲子園で馴染みのある単語で優しい。
この甲子の「子」がネズミ=1面ボスのナズーリンを連想させる。
さらに六十干支を一巡しているものととらえると最初の前は最後になり、六十干支の最後は癸亥(みずのとい)で水行+水行で成り立っており、まるで間欠泉から船が飛び出したことを暗示しているようだ。
次に寅丸星に見立てる干支を探そうとしたわけだが、寅を含むは5つあるし絞り切れない。
そういえば寅丸星までの妖怪たちは水に関連するものばかりだ。
子は水行だし、小傘は雨傘の妖怪、雲山はほっとくと大雨や雷を起こす、村紗は水難の妖怪・・。
ってことで、これら妖怪も六十干支の水行に当てはまるのではないかと思案したところ、ぴったしかんかん(死語・支と干だけに)だった。
十干の水行(壬・癸)と十二支の水行((亥)・子・(丑))に該当する個所と各妖怪を順にポイントしていく。
甲子:干支の一番目。1面ボスはネズミのナズーリン。
壬申・癸酉:二番目の水行ポイント。壬・水行と申・金行。2面ボスの小傘は雨傘であり、且つ針作成や鉄業に携わっている。次の癸酉>癸も水行で連続しているので一纏めとする。
丙子:子の前後(亥と丑)も水行だが、3面ボス一輪のセリフ「ネズミ・・」の通り子に限定する。丙子は火行と水行。一輪は太陽の光輪で火行に、雲山は雲なので水行に該当する。
壬午・癸未:壬午は壬(水行)と午(火行)の組み合わせで、4面ボスの村紗は海面に浮かぶ不気味な光(火)であった。また次の癸(水行)・未(土行)は、土は陰気が強いとされるため魔界への誘いを連想する。

寅丸星は、どじっ虎なのか?

5面の中ボスはナズーリンであり、癸未の次の子を探すと戊子になる。
戊(土行)は魔界を指していそうで、戊子で魔界に下りたネズミととれる。
次の寅が寅丸星に当たると考え見ていくと、それは庚寅であった。
ところで戊子と庚寅は十方暮の期間であり、それは甲申(甲子から21番目)から癸巳(30番目)の10間を指し、日数だと10日間となる。
万事が上手くいかない凶の時期とされ、5面ナズの宝塔をとり戻すのに苦労した話がこれに当てはまる。
星になるとさらに運悪く、宝塔を落っことしたり返ってきたら主人公機に凹された挙句、好き放題要求されたりと散々である。
寅丸星がどじっ虎だったりぽんこつだったり抜けていたりしたわけではなく、彼女にとって十方暮の期間だったから踏んだり蹴ったりだったのだ。
ちなみに八方ふさがりの事を「途方に暮れる」というが、途方は十方の変化であり語源は十方暮からである。
「暮れる」はその後の「闇」に置換されるため十方闇ともいう。

八苦を滅して一巡する

白蓮の位置する六十干支の特定は決め手がなく、ちと悩んだ。
そういう時は初心に戻り、ヒントになりそうな数字を探せばよい。
改めて6面をプレイしている時に、サブタイ「八苦を滅した尼公」でピンときた。
八苦は89、すなわち十干の8番目と十二支の9番目を探せばよいのである。
それは辛申になる、が、なんと六十干支の中には存在しない。
まさに滅された干支89である!
ただし六十干支で辛と申が隣り合っている箇所が二つある。
序盤の辛未と壬申、もう一つは終盤の庚申と辛酉である。
特に後者は辛酉革命で有名であり、且つ前の庚申と合わせて人々の心に余裕がなくなっている時期に当たり、聖人である白蓮が復活するタイミングとして最適な箇所になる。


そして辛酉の後で、干支の最後となる癸亥(間欠泉)から最初の1面ナズーリンへの甲子へ繋がることで星蓮船の物語を見立てていた六十干支は一巡する

弾幕の傾向

東方原作の各作品ごとにテーマに沿った弾幕が用意されているが、星蓮船ではどうだっただろうか。
各キャラに特徴的な大きなオブジェクトを利用した弾幕に目を奪われるが、それだけに捉われずよくよく観察すると、序盤は弾幕がひと纏まりにグルっと回転する弾幕が際立ち、
後半になると自機を強制的に回す弾幕が各キャラに一つは用意されていた。
勿論、他の原作にも似た類の弾幕はあるが、一つの作品内の各キャラで揃っているというのは特異な造りに見える。
一巡する・又はさせるという行為が六十干支の概念に沿っていた可能性はある。

ぬえは?

ぬえは東方星蓮船では三回登場する。


1回目:ムラサの前。ムラサに該当する壬午の前は巳で蛇の十二支が在る。
正体不明のたねやスネークショーなど、ぬえには蛇にまつわる要素が目立つ。
2回目:白蓮の前。辛酉の前日である庚申には、暗いと天に上る虫が現れるといい、これまた正体不明のたねを連想させる。
3回目:エキストラのボスとして登場し、そのステージ道中は二面背景の変化。
道中ボスは二面ボスでもあった小傘で、小傘に該当した壬申・癸酉の前は辛未であり、辛未と壬申で一つ目の89(八苦)に該当する。
エキストラを遊ぶことは干支一巡後で且つ2周目に入った事を意味している。
また癸酉の酉部分はぬえの鳴き声≒ツグミの音にも該当する。

最後に

星蓮船のキャラは六十干支にちなんで並べて配置されていた。
それは甲子のナズーリンから始まり壬・癸や子の水行に該当する個所に2面以降の妖怪が当たり、戊子と庚寅が5面で十方暮の期間であった。
八苦で干8支9=辛申を指すが六十干支では存在せず滅されており、最後の癸亥は最初の前、即ち物語の始まりを意味し、ぬえの配置と合わせて六十干支の一巡を表していた。
ナズーリンや雲居一輪、寅丸星の名前は、リン(輪)や丸、星座などで一巡という意味合いも含んでいた可能性がある。
こういう捉え方で遊びなおしてみるのも一興なのではないだろうか。

おまけ

ナズーリンの尻尾に下がっているネズミは時計に見立てて6時に位置しているが、
十二消息卦や十二支などを表す十二分割の円の図は、実は古来では「子や北が下」だった。

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