2024年10月29日 10:31 AM
#1501
東ノ目
参加者
東方香霖堂第一部第十五話「名前の無い石」に「この世は様々な物すべてが混ざった混沌の世界だった。だが、太古の神々がこの世の物一つ一つに名前を付けて回り、今の世の様に秩序の取れた世界が生まれた」という記述があります。ここにある、あらゆるものには名前がつく前の状態が存在するという考え方、またこの抜粋に続くモノに名前がつく前の純粋な力こそが神の力であるという考え方は他の作品でもたびたび登場します(手前味噌になりますが本サイトの考察記事『八百万の神と名付けの話』もご参照ください)。
さて、現実世界の神話において物事の区別がはっきりしていない状態、すなわちカオス(混沌)から始まるものは洋の東西問わず数多く存在し、前述の抜粋の通り東方世界においてもこの神話の流れは踏襲しているものと思われます。質問主さんが挙げている情報も日本神話における天地開闢との一致点が見られ、この説を裏付けます。こうした創造神話において人間は世界創造の過程で神の手により創造されるか、人間のはじまりが神話に組み込まれないのいずれかで(ちなみに日本の記紀神話は後者という解釈が一般的です)、どちらにせよ人間の信仰は必要なく世界は創造されるというのが結論と考えます。
こうした必ずしもその成り立ちに人の介在が必要ではない世界に対して人間がどういう役割を果たしているのか、という部分については先に解答してくださった方々との重複になってしまうので私からは差し控えさせていただきます。