玉兎
わかりやすく言うと月の兎。
月に住む神々に仕える種族であり、月の都のあらゆる仕事に従事しています。
主な登場人物は鈴仙、レイセン、清蘭、鈴瑚の4名です。
他にも、儚月抄にて月の都の住民や防衛隊の兵士が多数登場しました。
ちなみに、子どもから老人まで男女含め登場しているのは、東方における種族描写としてかなり珍しいですね。
彼女らはある特徴で二分できます。
「耳の形」です。
「立ち耳種」と「垂れ耳種」
モブ玉兎を見ると分かりやすいかと思います。
(左:漫画儚月抄7話 右:漫画儚月抄8話)
繁華街の玉兎たちは全員が「垂れ耳」なのに対し、綿月部隊の玉兎たちはみな「立ち耳」となっています。
所属により明確に異なることから、人間で言う「くせっ毛」等の個人差ではなく、意図して種族として描き分けを指示された可能性は高そうです。
それを匂わせる描写もいくつか存在します。
①小説儚月抄 3話 豊姫の台詞より
「月の兎にはそれぞれ仕事の担当が割り当てられている。一番多いのが農作物を管理する兎であるが、他にも薬搗き、掃除、月の都の警備等々、多くの仕事が兎達に任されている。」
②上同
「でしょうねぇ。餅搗き担当の兎なんて歌好きでいい加減でとろい奴が多いから。あんまり戦闘向きじゃ無いかもね」
③儚月抄中巻8話
先輩兎から物珍しそうに垂れ耳を触られる新入りレイセン。かわいい。俺も触りたい
これらの描写から
「玉兎は個々の適性により仕事が割り振られる」
「餅つきに割り振られる兎は基本ポンコツ」
「防衛隊では垂れ耳兎は珍しい」
といった実態がうかがえます。
玉兎に職業選択の自由などないのですね。
(1/21追記)また小説儚月抄6話でも依姫様が「レイセンが他隊員より血の気が少ない」として手紙の代筆を依頼しています。
推測するに、垂れ耳種は穏やかな性格で一般職に多く、立ち耳種は能力が高く兵隊に就く傾向があるのでしょう。
(なお、この認識が前提とされるならば、②の「餅つき兎はあんまり戦闘向きじゃ無いかもね」という台詞はちょっと違和感があります。まあ豊姫様が玉兎に詳しくなかったということで一つ…)
なぜ2種族いるのか
更に発展させ、玉兎の成り立ちについて考えてみます。
月の都という限られた環境で、なぜ異なる種が存在しているのでしょうか。
長い年月で「種の進化」が起こった可能性は、変化を嫌う月の都の特性上考えにくいと思われます。
ここで一旦、現実のウサギに目を向けてみましょう。
ペットショップやテレビなどでもよく見かける、非常に愛らしいロップイヤー。実はあれらの種類は皆、人為的な品種改良により生まれた種なのです。
ウサギは古くより食肉として飼育されていました。そんな中、気性が大人しく大型な種として、初めてロップイヤー 「イングリッシュロップ」が生まれました。
15〜16世紀からはペットとしての需要も高まり、可愛らしさを追求して昨今知られる「ホーランドロップ」等の小型の垂れ耳ウサギが生まれたのです。
(参考 :「うさぎの品種大名鑑」 町田修 著)
つまり、玉兎も同じような過程を踏んだのではないでしょうか。
「垂れ耳種は月人による品種改良により生まれた」
という説です。同時に
「立ち耳種は玉兎原種、ないし玉兎原種に近い種族」
とも言えます。
立ち耳種は気性が荒く、餅搗き・農耕には不向きだったのでしょう。(実際、鈴仙・清蘭にルーチンワークは無理そうです。 )
より穏やかで御し易い種として、改良された垂れ耳種が生み出されたのです。
そして玉兎街のシーンのように、今では垂れ耳種が多数派となっているのでしょう。
月の都の恐ろしさが垣間見えますね。
鈴瑚 実は立ち耳?
ここまで聞いて、「あれ?」と思われた方も多いでしょう。
鈴瑚は垂れ耳ですが、鈴仙・清蘭と同じく月の兵士であり、説から外れてしまいます。
しかし、本当に垂れ耳なんでしょうか?ハンチング帽で抑えてるだけの立ち耳の可能性もあり得そうです。
しかし一方で、彼女のマイペースな性格は上述の垂れ耳種の特性に当てはまる気もします。
真実は帽子の中…
まとめ
- 玉兎は「立ち耳種」と「垂れ耳種」が存在する
- 立ち耳種は兵士担当に多い
- 垂れ耳種は一般職に多い
いかがだったでしょうか。玉兎と月の都の解像度に多少なりとも貢献できれば幸いです。
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