第二次月面戦争の穴
東方儚月抄における八雲紫の計画はこうである。(ネタバレ注意)
①霊夢に神降しの稽古をつける
②依姫に疑いの目が向くことで永琳謀反の噂が立つ
③噂を耳にした永琳が綿月姉妹へ「黒幕の存在」を警告する
④レミリアのロケット作りを後押しし月侵略を実行させる
⑤依姫がレミリア一味に気を取られてる間に月へ侵入する
⑥豊姫が紫に気を取られてる間に本命の幽々子を月へ送り込む
⑦幽々子が何かしら盗んでくるはず
⑧盗んできたもの見せて永琳をびっくりさせよう
ほぼ完璧ね……
ただ一点を除いては。
最後が幽々子任せなところ、ではない。
③噂を耳にした永琳が綿月姉妹へ「黒幕の存在」を警告する
ここである。
そもそも永琳は追われる身なので、連絡を取る事が出来なかった。
鈴仙の玉兎通信も、謀反の疑いが深まる可能性があり不可だった。
ではどうしたか。
たまたま月から脱走してきたレイセンがいたため、封書を持たせ月へ帰したのだ。
特製の封書は本人証明にもなり、かつ綿月姉妹のみに届けられる最善の択であった。
……ちょっとタイミング良すぎない?
もしレイセンがいなければ、永琳は月を偽物にすり替え、月への侵入を防ぐつもりであった。
そうなれば当然、紫の計画は失敗に終わる。
つまり、紫にとってレイセンの存在は必要不可欠だったのだ。
計画のキーラビット
永琳のメッセンジャーを用意する方法はシンプルである。
自らの手で幻想郷に招き入れれば良い。
適当な玉兎を手駒にして操り、計画に沿って動かせば良いのだ。
永琳だって当初はレイセンのことを、スパイ冤罪で逃げた兎か、本当のスパイ兎のどちらかだろうと推理していた。後者の「スパイ兎」という推理が当たっていたのだ。
また小説儚月抄5話でも紫は「9人の協力者がいる」と述べている。
霊夢、魔理沙、レミリア、咲夜、パチュリー、幽々子、妖夢、藍で8人。
残る1人は勿論レイセンだ。
またレイセンが式神だった場合、都合が良い事がもう一つある。
②依姫に疑いの目が向くことで永琳謀反の噂が立つ
レイセンという端末があれば、玉兎通信を通じて情報操作を図るのは容易だっただろう。
今も式神なのか
当然一つの疑問が生じる。
綿月姉妹の飼い兎となった彼女は、今でも八雲紫の僕なのだろうか?
しかし、レイセンファンの聖典である小説儚月抄6話、ここでは1人称視点で彼女の思いが語られる。そこに嘘はないだろう。
つまり、この時点でレイセンは式神ではない。
では式はいつ剥がされたのか。
儚月抄上巻でのレイセンの振る舞いをよく思い出して欲しい。
地上に降りた頃の霊夢から羽衣を奪い永琳を脅迫するほど豪胆な活躍を見せた彼女が、月に戻ってからは借りてきた兎のように大人しくなったことを。
月への帰還、その前後で式は剥がれ、性格もスイッチされたのだ。
地上でのレイセンの振る舞いを綿月姉妹は知る由もなく、月に戻ったレイセンの振る舞いを八意永琳が知る術はない。
疑惑の目を避けるには絶好のタイミングだろう。
その名は八雲
儚月抄におけるレイセンに描かれた以上の活躍があったことをおわかり頂けただろうか。
レイセンは月の兎にして地上のスパイだったのだ。
ちなみにレイセンという名は儚月抄渦中に頂いたので、八雲の式としての名は別にあるだろう。
虹の七色のネーミング法則に倣うと青が近いが、ちょっと清蘭と被る。彼女自身のイメージカラーは個人的に空色だと思うが、「空」という名前は思い切り霊烏路空と被る。
そういう訳で八雲宙(そら)とかどうでしょう。
(イメージイラスト)
今、彼女は綿月姉妹の元で暮らしている。
式は剥がれた筈だが、まだ影響が残っている可能性も否定出来ない。
もしかしたら紫は、今でもレイセンの目を通して綿月一家の私生活を覗き見ているのかもしれない……
おわり
という与太話でした。
「八雲紫の計画にレイセンは必要不可欠だった」
ここまでは確かだと思います。
ですがレイセンは元々脱走願望を持っていたので、謀反の噂に乗じて脱走するのは必然だったでしょう。
後は、レイセンの脱走実行を機に計画を動かせば良いと思います。レイセン自身が式神なら、漫画儚月抄1話で後鬼のカラスに見張らせる必要も考えにくいです。
ちなみに紫の9人目の協力者は、ロケットの仕上げをした永琳だとする説が有力だと思います。
でも可能性は0ではありません。「発生する確率が0でない限りどんな事象も存在する」と八意先生は言っていました。
レイセンが八雲紫の式神である世界も素粒子レベルで存在します。
どっとはらい。
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