記紀の神代部分を「自然の理の説明(万物に宿る八百万の神)」+「実際にあった史実の《人々》の神格化(元人間の神霊)」とするならば(実際タケミナカタの要素を多分に含む八坂神奈子は個人の神霊ではなく集団が神霊になったものである可能性も示されている)、天津神≒月の民には八百万の神と神霊の両方がいそうではありますね
火の危険性やそれによって生まれるものを説明した神話を持つカグツチは前者なので八百万の神で、国譲りの神話は当時の異民族との接触を描いているっぽいのでそっちの神々は神霊ベース中心で
アメノサグメは巫女の起源ともされているのでサグメが神霊の部類に入るのは恐らくこういった事情ですかね(アメノワカヒコに仕えていた巫女が神格化された?)
また、東方では一見人間から遠そうな八百万の神の子孫が人間だったりするので(東風谷早苗)、親に八百万の神を持つ神霊もいそうです
この視点で見た場合、子孫である玉造部のみならずタマノオヤそのものも「神代の勾玉職人の人間(たち?)が後天的に神格化された(神霊化した)存在である」という解釈も可能そうです(時代的に現在の人類とは微妙に異なる種族かもしれませんが)
玉造魅須丸と月の民との関係は、個人的には「親戚もいる」くらいかなあと思っています
「天津神≒月の民」と書いたのは天津神全てが月に移住したわけではないと考えているからです
小説版儚月抄で、月の都と正反対の位置にあるはずの静かの海の向こうから飛んできた鴉を綿月依姫が「太陽の化身」として「月夜見様のお姉さまの使いかも」と誤認するシーンがあります
ツクヨミの姉ということは、その人物は天津神でありアマテラスその人であるはずです
その使者が月の都の外から飛んでくることが当たり前のように受けとられているので、彼女は月の都の住民ではない可能性が高いでしょう(居場所は太陽?)
また魅須丸本人に目を向けても、omake.txtで「欲望のままに山を切り崩し、資源が尽きると共にうち捨てられた鉱山跡を沢山見てきた」という記述があるので(彼女が月の民であったとしても綿月姉妹以上に)地上と関わりの深い神ではありそうです