東方妖々夢の色の構成について

東方妖々夢はstage1の雪景色から始まり、
stage4の夜明け(春はあけぼの、ようよう白くなりゆく山ぎは)を越して
stage5の本来なら幻想郷の春であった桜を冥界で観ることになり、
stage6の妖怪じみた桜色に圧倒される構成になっている。
そしておまけステージで異変の裏に隠れていた「紫」と対峙する。
このように白銀の雪景色から満開の桜色に至る流れが、季節感に沿うことでとても美麗である
ゲームの流れの色合いが白→桜色→紫で構成されており、その色合いについて古来から在る着物を例に着目したい。

襲(かさね)の色目(いろめ)

日本の伝統的な色彩のデザインの一つに「襲の色目」というものがある。
平安時代の王朝の女房の装束である十二単(じゅうにひとえ)に象徴されるように、平安時代の貴族が衣を何枚も重ね着したのが「襲色目(かさねのいろめ)」の発端である。
基本は二種類の衣で成り立ち、薄い色の表地と濃い色の裏地の組み合わせにより、
表の色を通して見る裏地の色との合わさりで季節(感)を表現するのが風流とされていた。
例えば、紅梅(表地)+蘇芳(裏地)で紅梅、白(表)+紅梅(裏)で初雪などである。
表地の色・重ねた色・袖から見える裏地の色の三色のデザインが今風に言うと映えたのだろう。

襲の色目と東方妖々夢

襲の色目に桜もあり、ただ桜襲としての組み合わせは種類が多かったらしく、その一つが白色(表)+二藍(裏・紫の一種)の組み合わせである(※1)。
色紙で白色と紫色を重ねて光に透かしてみると桜色らしくなる。
東方妖々夢を襲に見立てると、stage1が表地に当たる白色で少しずつそのベールを剥がすことで桜色(stage5,6)になり、
さらに白色を完全に取り除くとその裏に潜んでいた二藍(おまけステージ)にたどり着く・・といった色合いの変化がイメージできる。
ファンタズム=二藍(紫)の一つ手前がエキストラのボス=藍であることも、この襲色目にしたがったと捉えるに偶然ではないと考えられる。
二藍とは紫と紅の組み合わせで衣類の対象年齢によってその割合を変えていたらしい。
東方原作に話を戻すと、十六夜咲夜が紅い悪魔の棲む紅魔館からの代表であり、白(表)と赤系(裏)も代表的な桜襲であり、
幻想郷の桜が白+赤に該当している(紅白は博麗の巫女の代表色でもある)。
スタッフロールの背景が白色で徐々に桜色に染まった部分が出現し、最後に紫らしい色に辿り着くのも桜襲に近いものを感じる。
エキストラとファンタズムの色合いも紅と紫(で二藍)が織りなす比率変化の範疇である。

最後に

東方妖々夢が桜の襲を参考にしていたかはさておき、

この本文を機に、襲の色目を調べたり試したりしてらうと本望であります。

おまけ

東方永夜抄OPの画面に霊夢に重なる形で90°回転した植物のユキノシタが映っている(※2)が、
そのユキノシタを表す襲も白(表)+紅系(裏)である(紅白)。
また「襲」のパーツにあたる龍は永夜抄のキーワードの一つである

参考文献

※1.色彩と色目→狩衣の重目
http://www.kariginu.jp/kikata/5-1.htm
※2.東方備忘録→東方素材集→東方永夜抄
https://ohgosho.ehoh.net/

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