先日のこちらの記事に触発されて「東方幻想郷」について考えていたら、色々思い至ったことがあったのでまとめてみました。長い東方考察の歴史の中では既出かもしれませんが、自分は触れたことがなかったので、もし先学でちゃんとした研究があったら補足していただけると幸いです。
幽香と植物の関係
先述の記事で触れられた「萌え」について、出所を調べると稀翁玉のフォルダ内にある「創曲幻想」という名のテキストファイルに記されていたそうです。また、ゲーム内の表現を見ても、テーマ曲である「桜花之恋塚 ~ Flower of Japan」や必殺技名の「萌風」「桃源郷」「蓬莱桜花」「幻想郷」など、植物を意識したネーミングであることが窺えます。
それでは、肝心の初登場作である「東方幻想郷」ではどうだったでしょうか。wikiの記述*には「BADエンディングでは靈夢が夢幻館にいる隙に巨大植物を暴れさせて神社を破壊する。」という情報が載せられいますが、筆者は未見のため実際どのような描写であったのかは判りません。自身の知れる範囲で何か関係ありそうなものはないかと考えてみたところ、ゲームの副題に思い至りました。
「Lotus Land Story」。理想郷の代名詞としてよく用いられる「ロータス」(蓮)です。そして「理想郷」という言葉を出しましたが、改めて必殺技名を見ると「桃源郷」や「蓬莱」など理想郷を表す他の言葉も使われていることが判ります。このような傾向から、幽香と植物の関係を考える上で、理想郷という要素とも何か繋がりがあるのではないかということを考えました。
先に結論を述べますと、これらは「ゲーム」と「美少女キャラ」のメタファーだったのではないかと思いました。憑依華という作品では、タイトルからして作中に登場するキャラクターたちが「花」に例えられいます。この意識は、蓮や桃といった花の言葉をもって表される先行した理想郷のイメージを、ゲーム作品に置き換えるに当たって生まれたものだったのではないでしょうか。「萌え」という表現も、案外本当に「キャラ萌え」の意味も併せ持っていたのかもしれません。
この仮説を、以下に記す内容も踏まえることでより実態的に示してみたいと思います。
理想郷とゲーム世界
神主は自身のゲームの舞台である幻想郷を、(実際に幻想郷とは別の世界としての「夢の世界」も出てきましたが)「夢の世界」として表すことがあります。秘封シリーズのマエリベリー・ハーンや深秘録で登場した宇佐見菫子における幻想入りの描写がその例です。
加えて、自身の作品が作中世界と現実世界との間にある「境界」であることに自覚的である様子が数々の表現から窺えます。特に顕著なのは、妖々夢のパッケージの帯にある「シューティングゲームは、シューティングである以前にゲームである。然し此のゲームは、ゲームである以前に結界である。」でしょう。現実ではない世界を現実に暮らす私達の眼前に表すものが、境界としてのゲームなのだと思います。
夢と現の境界としてのゲーム。「東方幻想郷」はそれを表現することを目指した、より原義に近い意味でのメタ作品(ゲームを表すゲーム)だったのではないでしょうか。ともすれば、「幻想郷」というタイトルはこの作品を表すのにこれ以上ない名前であるように感じられます。そんなゲームのラスボスとして登場する彼女・幽香という存在が、ゲームに登場する美少女(東方キャラ)そのものを表象するキャラだったと考えるとどうでしょう。自分は今まであまりよく判っていなかったこの作品の立ち位置に、ある程度の理解を得られたような気がします。
紫に引き継がれた要素
さて、それで肝心の紫との関係の話ですが、「境界」という話題から考えられるように、八雲紫というキャラクターもかなりメタ的な視点を有している存在です。それゆえ、もし今回の幽香の解釈が成り立つとしたら、八雲紫というキャラクターを生み出すにあたって幽香の存在は大きく影響したのではないでしょうか。そういう視点で両者を見てみたときに目に留まった点を、簡単に挙げてみたいと思います。
・境界にある住処
幽香:夢幻館(夢幻世界と現実の間)
紫:艮の方角(幻想郷の境) 霊夢Ph会話
・眠り癖
眠りについては、生と死という事柄にも関わりそう
幽香と二回戦う理由が、5面:目覚め→生、6面:Inanimate Dream→死だったり?
・日傘
日傘!
以上です。
という事で、東方幻想郷という作品がどのような作品がを考えた末に思い至った一仮説でした。これを踏まえると他にも指摘できそうな点はいくつかあると思います(1面で分岐として表される昼と夜、未使用曲のBorder Landなど)が、今回はなるべくシンプルに書かせていただきました。冒頭に述べたように、色々足りない点に関しては補足などいただけましたら幸いです。
ご一読ありがとうございました。

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