賞味期限残り二週間ほどになった錦上京予想です。別にキャラの元ネタとか公開されたジャケットについてとかでもないふわっとした予想なのですが、もしお付き合いいただけるようならよろしくお願いします。
北斗七星と龍の関係
錦上京のタイトル画面背景には龍をかたどったような文様が見られることから、後半のストーリーに「龍」が関わるのではないかという予想は早くからなされてきました。その「龍」との密接な関係が北斗七星にはあることが、東方の作中にて何度か語られています。
香霖堂第二十二話「妖怪の見た宇宙」と茨歌仙第二十五話「渾円球の檻」の二つの話で、「北斗七星は龍である」という解釈が登場しました。それだけでなく、更にそこから続く話でも両者で同じ内容が繰り返し述べられているのです。
天龍は常にある一点を見つめており、いつか飛び出そうとしていると言う。その一点に在る星、それが北極星である。(香霖堂)
龍は地面から空に昇り、最終的には天を支配します。今まさに北の空に輝く天の秘宝、北極星、またの名を不動星を喰らいに行こうとしている最中なのです。(茨歌仙)
ただ龍として描写されるだけでなく、その意味についても詳しく述べられていることから、この話の背景にはしっかりとしたストーリーが用意されているように感じられます。もしかしたら錦上京ではそれについて掘り下げられる展開があるのかもしれません。
北斗七星は時間を生み出す
しかし、「龍と関係がある」だけでは説を立てるには不十分でしょう。そこで次は、今回の異変の肝となっている「時間」との関係についてある情報を述べてみたいと思います。
中国漢代の歴史書であり、日本でも古くから受容された『史記』の中に、天文についてをまとめた「天官書」という章があります。その北斗七星の項に、次のような一文があります。
斗為帝車、運于中央、臨制四郷。分陰陽、建四時、均五行、移節度、定諸紀、皆繋於斗
これについて、こちらの中国思想研究の文献に書き下しがあったので引用させていただきます。
斗は帝車為りて、中央に運り、四郷を臨制す。陰陽を分かち、四時を建て、五行を均しくし、節度を移し、諸紀を定むるは、皆斗に繋がる。(北斗七星は、北極星を中心点として周回し、陰陽・四時・五行の循環を制御する)
世界各地の創世についての神話では、「世界の始まりは天地の区別なく混沌であった」という考え方がそれなりに見られます。東洋の世界観においては、天地(陰陽)だけでなく時間の区切りや自然の万物についても始めは存在せず、何らかのアクションによって陰陽は分かれ、時間は巡り出し、万物は生まれたと考えられていたのです。その重要なファクターの一つとして捉えられていたのが、北斗七星の回転であったという……。時の停止した幻想郷とこの話が繋がったら、面白そうだなと思います。
また、一つ加えさせていただくと、錦上京では聖域の祭壇に向かうにあたり「古い信仰」「原始的な信仰」というキーワードが登場しています。この言葉が指す「原始」とはどこに向けられた言葉なのか。万物に名前が与えられ、性質の分かたれた今の世界から遡った先にある「混沌」が、それに当てはまったりはしないでしょうか。
四神相応と星辰
さて次は、そもそも錦上京のストーリーに「星」が関わるのかという話をしてみたいと思います。
錦上京体験版ではウバメのスペルカードや二面背景など、ちらちら「宇宙」を感じさせる要素が出てきています。これらに加えて、以下の点についてもこれは後半で星の話をする伏線なんじゃないかと自分は感じています。
錦上京体験版の中で後半の内容を予期させるものとして、ピラミッドの入り口による分岐があります。このことについては、当サイトでもこちらの記事のように論考がなされており、自身もフォーラムにて情報の集積を試みたりしていました。これらの調査を通して自分は、四神や五行を想起させる諸要素は星の巡りに繋がるのではないかと思うようになりました。
四神は元をたどれば星座からそのモチーフが用意された存在であり、往々にしてそれらは星々の巡りを象徴すると捉えられることがあります。そして一番大きな理由は、四神図は星の図様とともに描かれるという点です。これは日本においてはキトラ古墳・高松塚古墳の例で知られ、大陸における装飾古墳にもみられる東アジア全体で共有されたイメージです。
このように、四面の展開で四神相応思想の関与をにおわせる意図を考えると、そこにあるのは星への意識ではないかと思うのです。
キトラ古墳と高松塚古墳に描かれる星の図様は大きく異なっているのですが、どちらも北極星を中心としている点は共通しています。それだけ北極星は星空の中心として重要であり、それと結びつく北斗七星も重要な星座なのです。もしこの先星の話があるとなったら、北斗七星にまつわる何かしらが登場することもあるのではないでしょうか。
天皇との関係
錦上京予想では「錦」という言葉やピラミッド(古墳)といった要素から、「天皇」との繋がりを指摘する声も上がっています。これについては、北極星が強い関連を持っています。
天皇が儀式を行う場である「紫宸殿」は、北辰(北極星)の在る星域を指した「紫微垣」に由来します。またこれは中国を参考にしたものでもあり、中国では「紫禁城」などがそれにあたります。中国の皇帝は紫微垣に坐す「天帝」によりその位を保証されているのであって、皇帝にまつわる種々の事物には北辰のイメージがちりばめられていました。東アジアにおける「皇」は、このように北辰に通じる存在と考えられていたのです。
しかし、こうした北辰に対する信仰は往々にして北斗七星に対する信仰と混同されてきました。(例:天皇大帝)言い換えるなら、それだけ北辰と北斗七星は一連のものとして認識されるような関係であり、近い存在だったのだと思います。それが東方の「いつか北極星を喰らう」という設定にも反映されているのではないでしょうか。
もし天皇にまつわる話があるのなら、ぜひ星と関連する話が聞けたら嬉しいです。
といったところで、今回の記事は一旦畳みたいと思います。一点蛇足を付けると、並行して考えていた「岩石信仰=惑星パワー」の可能性についても途中で触れてみたかったのですが、話の流れを上手く繋げられなさそうだったのでカットしました。もし時間が有ったら補論としてもう一筆するかもしれません。なんとかなれリアル生活……。
それでは、ご一読いただきありがとうございました。ジャケットを眺めて楽しみに待ちましょう💪

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