牛崎潤美のモデル牛鬼・濡女について

第二回地獄鬼獣極楽祭で頒布した『牛鬼潤女』の一部修正・加筆したものです。

牛崎潤美のモデル

牛崎潤美の種族は「牛鬼」とされている。牛鬼とはその名前が表す通り、頭が牛で体が鬼もしくはその逆で頭が鬼で体が牛の妖怪である。
牛鬼の伝承は各地に残るが、牛崎潤美のモデルとなっているのは山陰地方に伝わるものである。

濡女・牛鬼

山陰地方に伝わる牛鬼はまず濡女として女の姿で登場する。海から現れた濡女は赤子を預かってほしいなどと言い、相手に赤子を抱かせる。すると赤子は石のように重くなりその人はその場から動けなくなってしまう。その後、牛鬼の姿となって現れて動けなくなった人間を食い殺すとされている。

潤美は「牛鬼」とされているものの、どちらかといえば「濡女」としての性質が強い。

濡女の特徴は手に抱える石の赤子やスペルカードなどに、牛鬼の特徴は牛の角や足の鎖(東方Projectにおいて鎖は鬼の特徴)に表現されている。

テーマ曲の「石の赤子と水の牛」は濡女と牛鬼の二つの姿を表している。
また名前の牛崎潤美も牛崎(音読みでぎゅうき?)潤美(濡女?)も同様である。

蛇女・メデューサ

バレットフィリア達の闇市場には「濡れた大蛇」という潤美のカードが登場する。濡女は大蛇の姿で描かれることも多く、濡れた大蛇とはそのことであろう。能力の敵弾を止めたり遅くする能力は石の赤子を抱かせて動きを止める伝承に由来する。
解説文にある「敵弾だって石化するんだね」およびカードイラストの頭から蛇が生えている女はギリシア神話の怪物メデューサに由来すると思われる。メデューサは頭から蛇が生えている女の怪物で、その目を直接見ると石化してしまう。濡女とは蛇と石という点で関連している。

古代魚はどこから?

島根県には釣り人から魚を貰った後に襲うという伝承が残る。潤美が三途の川で魚を飼っているのはこの伝承のイメージだと考えられる。

牛崎潤美は悪魔?

潤美のスペルカードに「デーモン」という言葉が登場する。これは鬼に英語を当てるとデーモンであることの他に、西洋では牛と同じウシ科で骨や角の形状が似ている山羊の頭蓋骨が悪魔バフォメット(山羊頭を持つ)として悪魔崇拝に用いられることが由来ではないかと推察する。

主な参考文献

奥州市牛の博物館(2016)、『牛と鬼』
北上市鬼の館(1995)、『北上市立鬼の館常設展示図録』
小松和彦(2022)、『鬼と日本人』、角川文庫

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